4Aフィードバック - 複利で効く企業文化

こんにちわ、松谷です。

唐突ですが、先月読んだNetflixの企業文化を解説した本に「4Aガイドライン」というフィードバックの仕組みが紹介されており、これが組織的に良質な打ち手だなと思ったので今日は社内向けに紹介したいと思います。

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オンライン動画配信サービスのNetflixは、傑出した企業文化を持つ企業として知られていますが、Netflixにおける重要な企業文化の1つが「率直に、相手へフィードバックすること」だと同社のCEOであるリード・ヘイスティングスは挙げています。

リードCEO曰く「相手へのフィードバックを口にしないことは会社への背信行為である」と位置づけているらしいのですが…(すごい強めなメッセージw)

とはいえ…、個人へのフィードバックは受け手が「攻撃された」と感情的にならないよう、伝える側も聴く側も内面的なトレーニングを積む必要があることは想像に難しくありません。

そのため、フィードバックの文化は「仕組みをただ組織に埋め込む」だけでなく、「メンバーの内面の進化」との両輪で行う必要があります

しかしこのような進化は放っておけば自然発生的に生まれる…というものではないので、それ補助するツールとして彼らは4Aガイドラインを開発したのだと思います。

なぜフィードバックが重要なのか。

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本題に入る前に、何故そもそもフィードバックが重要なのでしょうか?

それは客観的なフィードバックが個人の成長のきっかけになるのは大前提として、良くも悪くも「企業の成長はメンバーの成長に依存している」ことが背景にあります

大事なことなのでもう一度言うと、企業の成長は構成する個人の成長に完全に依存しています。

そのため「メンバーの成長曲線」が弊社にとって経営的死活問題であることは必然です。

複利の積み重ねが圧倒的な差を生み出す。

「x gardenの成長=個人成長に依存する」という前提がある時、フィードバックによって個々が毎日、自らの能力を1%改善することが出来たら1年後にはどれだけ成長できているでしょうか。

極めて簡略化した図式ではありますが、習慣が生み出す複利の効果を直感的に把握できる図がこれです。

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本紹介:複利で伸びる1つの習慣

(やや無理矢理感はありますが…)もし仮に1年間、毎日1%よくなる場合:1.01の365乗=37.78…37倍の差分が生まれます。

これは「個人」の話ですが個の総体である「組織」の場合でも同じことが言え、"構成員の人数分"この複利が積み上がっていくことになります。

このように考えると、組織的な良い習慣は長期的に見ると大きなレバレッジが効くため組織戦略的にも注力すべきアジェンダの1つと言えるでしょう。

「温かみのある人間関係」と「スポーツチーム的な相互研鑽」を両立する。

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プロのサッカーチームでは、選手同士がより洗練されたプレーを目指すためにフィードバックし合うことは日常茶飯事です。

なぜなら、お互いに指摘しあいチームを高めていかなければ相手に勝てないからです。

このスタンスはスタートアップにおいても重要なメンタリティであり、チームとして強くなり、過去の自分たちに勝つためには率直にフィードバックが出来る企業文化は長期的に大きな効果を生むはずです。

温かく優しい、ウェットな人間関係はx gardenの良さとして保ち続ける一方で「プロスポーツチーム的な相互研鑽」という一見、背反する価値観を統合することでより洗練された組織に進化していけると私は信じています。

「陰口はダサい」という文化の健全さ。率直に言えないから、組織はおかしくなる。

おかしなことになってる会社は大体、リーダーやマネージャーがおかしな事してるのに、本人たちにその自覚がなく、一方で一緒に働くメンバーは「おかしいよな」って思ってるのに口に出せない…みたいなことになってることが多いですよね。

誰しもそういう場合に喫煙所とかで陰口を言ったりするものだと思いますが、陰口で物事が好転する確率は限りなくゼロです。

逆に率直にフィードバックできれば事態が好転する可能性が僅かに生まれます。

会社経営は意思決定の集積で戦うチーム戦なので、x gardenにおいては「陰口を言うならGiveの精神で本人にしっかり伝えるべきで、それをしないのはダサい」という健全な文化を育てていきたいと思っています。

参考)ハーバードビジネスレビュー・強い組織文化は「奇怪なルール」から生まれる

(松谷自身も、自分のことを客観視できてるとは全く思えないので、忌憚のないコメントをいただきたいと常々思ってます)

4Aフィードバックの概要

さて前置きが長くなりましたが、Netflixが開発した4Aフィードバックを紹介していきましょう。

冒頭で述べたようにフィードバックを受けることは「恐れ」や「不安」を生み出し生存本能の結果として「怒り」のトリガーとなってしまうリスクもあります。

その人間の本質を回避し、建設的なフィードバックするためのガイドラインが下記の4つのルールになっています。

<フィードバックにおける「4A」>

1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)【発言側】
2.Actionable(具体的な行動変化を促す)【発言側】

ーーーーーーーーーーー
3.Appriciate(感謝する)【受け手側】
4.Accept Or Discard(取捨選択)【受け手側】

これが4Aガイドラインの全体像です。

「4A」は4つのガイドの頭文字を取ったもので、発言側と受け手側に2つずつコミットを求めています。

次に1つ1つみていきましょう。

1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)【発言側】

自分のイライラを吐き出すため、相手を傷つけるため、あるいは自分の立場を強くするためにフィードバックをすることは断じて許されない。

相手の行動を変え、相手の成長のサポートをするためにGIVEすることが最大目的であり、発言者はそれが会社の成長にどのように役立つのかも説明しなければならない。

(これはx gardenのコアバリューの1つであるGive&Giveに近い考え方ですね)

2.Actionable(具体的な行動変化を促す)【発言側】

フィードバックはそれを受けた相手が、どう行動を変えるべきか極めて具体的でなければならない。

ただ単に「それはおかしいと思います」と抽象的に伝えるだけではフィードバックとしては不適切である。

3.Appriciate(感謝する)【受け手側】

批判されると人は自己弁護をしたくなるし、プライドが高い人ほど条件反射的に自尊心を守ろうとする。

しかしフィードバックをもらったらこの自然な反応に抗い、まずは感謝を示し、真摯に耳を傾け、感情に囚われない心で受け止めよう。

4.Accept Or Discard(取捨選択)【受け手側】

常にフィードバックに従う必要はない。

Giveされたフィードバックを受け入れるかどうかは受け手である本人に委ねられる。

それはフィードバックを与える人も必ず理解しておかなければならない。 

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以上が4Aフィードバックです。

どれも覚えやすいものですし、特に4つ目のルールなどは「フィードバックを行う側に強いられる気遣い・心的負担」をグッと下げる秀逸なルールだなと思って感心しました。

まとめ:「Giveで4Aフィードバックします」という前置きが持つ心的効果

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フィードバックする側は「Giveで4Aフィードバックするね」という前置きをすることで、両者の間で「今からフィードバックを行うのは、あなたと会社の成長のためである」という暗黙のコンテキストを共有することになります。

また、この前置きがあることで伝える側は

・「本当に相手の成長を願っているか?」

・「自分のイライラを吐き出すために言ってないか?」

などルールが守られてるか自問した上で冷静に言葉を選ぶことができますし、聞き手はフィードバックを受け止めるための心理的な猶予・準備期間が生まれます。

このような模倣難易度が高い(=一般的に馴染みづらい)コミュニケーションスタイルを習慣化出来るようになると長期的に他社にはない、組織の成長因子になるはずです。

このような企業文化を維持・形成するには、私自身が率先垂範することが重要なので、ぜひ私にも思うところがあればコメント頂けたら幸いです!

という訳で今日は

  • フィードバックが重要な理由(会社の成長=個人の成長に依存している)
  • 複利が生み出す長期的な効果
  • フィードバックを機能させるための4つのガイドライン
  • 実運用に向けての前置きルール

を書いてみました。今日はここまでです〜!

※今回のブログは組織運営上かなり重要なことを書いているため、全員と分かち合い行いたいと思います。

なので月次定例の後に、分かち合いTIMEを設けて各自どう感じたか聞かせてください^^