5つの報酬類型 - 5G理論について

おはようございます。x garden 村長です。

さて、今日は「人が、その会社で働きたい…と思う理由はどこにあるのか?」という問いについて考えてみたいと思います。

・今日話す5Gフレームワークによって、報酬における共通認識が持てる。
・x gardenが何をメンバーに提供したい会社なのかが伝わる。

この2つを期待して書いていきたいと思います。

5つの報酬類型。働きがいを生む 5G理論

いきなり「5G理論」という謎ワードを展開してしまい恐縮ですが、ちょうど5G通信も始まりますし、報酬の類型フレームワークとして今回ぜひ知って頂けたらと思います。

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まずは全体像から話したいと思いますが、先に5Gを構成する5種類の報酬を整理すると

⑴関係報酬:心から一緒に笑い合える、豊かな人間関係が存在する。(Group)

⑵成長報酬:自分のレベルアップを実感できる、ある種のゲーム感(Growth)

⑶自由報酬:自分のWillや人生をコントロールできる。(self-Governance)

⑷金銭報酬:必要十分なお金がもらえる。(Gold)

⑸意義報酬:会社ビジョンや事業の意義に共鳴できる。(Goal)

このように5つのGが入ることから、5G理論と名付けています。(造語)

※個人的な感覚として5G報酬のうち3G以上満たされているなら、その組織はかなりイケてる会社でしょう。2Gであればまぁまぁで、2~3年は働けると思います。(1G以下は論外)

それでは1つ1つの報酬を詳しく見てみましょう。

関係報酬(Group)

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これは言わずもがな会社に、豊かな人間関係が存在するか?というお話です。

少し前に読んだCoralのブログに「スタートアップの組織設計図の5類型」という記事がありました。

この記事、大変興味深いのでぜひ読んで欲しいのですがx gardenはこの組織の類型だと明らかに「コミットメント型」組織であり「好きなメンバーと働くこと」を絶対善としています。

これは「世界を変える事より、上場する事より、好きな仲間と心から楽しめる仕事をしたい」と願う創業者の価値観が影響した結果とも言えます。

人生で起こる様々な喜怒哀楽を他者と感じ、その共体験によって生まれる「つながり」や「社会関係資本」が心の財産になる…というのがx gardenの死生観と言えるでしょう。

ルフィは海賊王になれなくても、めちゃめちゃ幸せ者。

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この理論に則ると「麦わらの一味」は最強ですよね。

あんなに優しくて、気のいい仲間たちと一緒に あれほど心躍る冒険が出来るなんて人生は早々ありえません。

自分がルフィであれば、あんなに最高の仲間と巡り合えたのだから、いつ死んでも後悔はない気がします。

このような、豊かな人間関係によって生まれる関係報酬は”お金で買えない” x gardenが提供できる唯一性の高いものだと自負しています。

成長報酬(Growth

2つ目の成長報酬は言うまでもなく「日々の能力成長を実感できるか?」という観点です。

どんなマネジメント関連の本を読んでも、能力成長の設計はモチベーション維持のためには欠かせません。

そもそも”能力”というのは極めて抽象的な概念なので、議論の前に整理が必要なのですが、語り出すと長くなりすぎるのでこちらの本を紹介しておきます。MustBuyです。

 

個人のwillをリスペクトする会社か?

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仕事を通じて成長出来るかどうかは、その仕事に強いWill(やりたい!という気持ち)があるかどうかに強く依存すると考えています。

そのためx gardenは「これをやれ」と一方的にタスクを強制することは殆どありません。

もちろん、明らかに中長期的な会社の利益に繋がる場合「助けて欲しい」と伝えることはありますが「やるか、やらないか」の最終判断は究極的にはメンバーの意思に委ねられています。

「短期的な利益」<「メンバーの意思」という判断がまかり通る組織デザインの裏側には「株式による資金調達をしない(=上場プレッシャーを受けない/短期利益至上主義に陥らない)」という財務戦略との連動が回ってます。

人の持つ才能開花はx gardenの組織ビジョンたる「主体性」と「創造性」を解放する経営に通じる部分であり「それが出来ないならx gardenが存在する意味はない」と言い切ってしまえるほどプライオリティが高いものなのです。

金銭報酬(Gold)

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これはシンプルにお金の話です。

なんだかんだお金は大事で、幸せな人生を送るためには一定の金銭が必要であることは疑いの余地はありません。

「人生の不満をなくす」という観点で見たときに、必要十分な金銭が保証されていることが極めて重要であることは間違いないでしょう。

 

充足感は外発的なものではなく、内発的な報酬で生まれる

一方で「不満をなくす」ことはできても「充足感を得られるか?」はまた別の話です。

などからも見て取れます。

これはいわゆる「快楽順応」と呼ばれるものです。

昇進や昇給は生物学的に「生存と繁殖」に有利に働くため、脳の報酬系は同じ快楽を味わうよう人間を誘導する訳ですが…、これは「充足なきエゴの無限ループ」とも言えるでしょう。

人生の不満はお金で解決できても、精神的な充足感は外側から与えられるものではないのです。

ただし再三になりますが金銭報酬を軽んじている訳ではありません。

リスクをとって会社貢献してくれているメンバー達には「普通にサラリーマンをやるよりもよっぽど稼げてる」という水準には絶対に持っていく事が私の悲願ですので、そこはしっかり利益還元できる組織制度を準備したいと思っています。

自由報酬(self-Governance)

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さて、4つ目は自由報酬です。

人には「自己支配欲」というものが少なからず存在します。

これは自分の考え方に応じて意思決定や人生を自分でコントロールしたいという至極真っ当な欲求で、特に才気溢れる人ほどこの傾向は強い気がします。

大企業で働く辛さは「自由のなさ」に起因する

官僚的な大企業で働く人が精神的に辛くなるのは、分業化によって構造的に「自分でコントロールできる範囲が狭いこと(によって生まれる無力感)」に起因していると思っています。

極端な話、急な転勤・異動に対してもNoと言うことができず、人生の支配権・生殺権すらも企業に譲渡している状態だと言えるでしょう。

対して自由報酬を提供できる会社というのは、その人の可能性と人生を尊重して絶大な信頼のもと自由を提供します。

要するに言動に対して細かく口出ししないし、権限委譲もダイナミックに行うということです。

x gardenの未来は20~30人×10グループの生態系

権限委譲をダイナミックに行い、個人が組織に影響力を持てる状態を維持するには構造的な組織設計が不可欠です。

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x gardenは一旦のマイルストーンの目線感として売上30億円 人員150人規模を目指したいと思っていますが、1事業に150人が関わる経営モデルを採用した場合、必然的に1人1人の自由報酬は希薄化してしまいます。

そのため150人×1社ではなく、誰もが会社に影響を持てる20~30人規模×5~6社のような生態的な企業群が理想なのです。

会社の至るところに「自由と余白」を埋め込む。

x gardenにとって”自由と余白”は重要な概念です。なぜなら創造性や主体性は余白によって生まれるから。

・(些細なことですが)名刺に一言、座右の銘を入れられるようにするのも

・XR-Hub Cafeをβ版と名付け、自由に飾れるようにしたのも

・XR-Hub Fesという合理的に説明できない余白空間をコーポレートアイデンティティとして投資意思決定したのも

・狂乱的なKPIマネジメントや社内ルールを強制しないのも

全ては余白によって関わる人たちの創造性を引き出したいがためなのです。

過去インタビュー→XR-Hub Cafe移転エピソード

めちゃくちゃ拘るエントリーマネジメント

「時間を縛らない」「圧倒的な信頼のもと、自由を提供する」という理想郷とも言える組織施策は「採用時点での優秀な人材のフィルタリング」があってこそ実現し得ます。

また「成果主義」という点において生態系を標榜するx gardenにおいてはそこらの安泰な大企業より、よっぽどシビアな環境になっていくと思っています。

x gardenはメンバーに圧倒的な自由を提供したいと考えているが故に、採用時点で「自律心があるか?」「仕事に対して情熱的か?」という点を厳格にエントリーマネジメントする訳です。

意義報酬(Goal)

さて、最後になりましたが、会社のビジョンや事業の意義に共感できているかどうか?は会社の求心力・働きがいにおいてかなり影響を与える要素でしょう。

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まぁ、ここに関してはあまり議論の余地がないように思いますので、XRの意義について最後にさらっと書いて締めましょう。

XRは、人類が積み重ねてきたテクノロジーの集大成。それを特等席で楽しむ。

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さて、ではx gardenのFor XRの意義はどこにあるのか?

それを認識するには「XR=先人たち数百年かけて発展させてきたテクノロジー史の1つの集大成」であることを認識する必要があります。

ご存知のようにXRは

  • ハードウェアの進化
  • ソフトウェアの進化
  • 通信・インフラの進化

これらの複合的なテクノロジーの掛け算によって、ようやく産業として勃興しつつある産業技術です。

(実際VR等は50年前から概念的には存在しつつも、周辺環境が整っておらず幾度となくガードナーの幻滅期を迎えてます)

XRを取り巻くテクノロジー史の陰には、技術者たちのたゆまぬ努力が膨大に累積されている訳で、まさにXRは人類の叡智でありテクノロジーの夢なのです。

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そんなXR業界をこの時代に運よく生まれてきた自分たちは最前席で「勃興のダイナミズムを肌で感じながら、その動向に影響を与えられる」訳です。

こんなワクワクする仕事人生はなかなか巡り逢えるものではありません。

我々が

  • クライアントや社会に対してXRの価値を証明することができれば
  • クリエイターが面白いものを作れるきっかけを作れれば
  • 面白いXRのアイデアに資金を供給できれば

未来を1ミリでも、面白い方へ変えることできる訳ですから。(実際ML-ChallengeなどはXR業界を別の世界線に変えたはずです)

ビジョンはあまり気にしなくていい。

ちょっと熱い話をしてしまいましたが、所属するメンバーとしては「XRって面白いよね」「なんかワクワクする」とか、そういうシンプルな動機でも全くOKです。

むしろx gardenの創業メンバーくらい強い人たちであれば、誰かが作ったビジョンをモチベーションの拠り所にしない気もします。

そのためx gardenでは良くも悪くも?あまりビジョンドリブンではないという点は補足しておきましょう。

会社はチームゲームなので、在り方としてのBeing(=企業文化)には一定の共感と同調を求めますが、ビジョンに関しては無理に共感する必要はないのです。

終わりに

さて、長くなりましたが「働きがい」と「組織の求心力」を生み出す5G理論はここまでになります。

これら、5つの報酬をどのように優先順位つけてを設計・運用するかという点は会社の文化や創業者の願いが投影される部分でしょう。

創業間もない事もあり、まだまだそれぞれの報酬を実感出来る仕組みが整備されていないので、3期目にはしっかりここの実装を進めていきたいと思います。

今日はここまで〜。